商品を仕入れたり、 仕事用の備品を後払いで購入したりすると、 帳簿に 「買掛金」や「未払金」 が登場します。
どちらも、
「まだ支払っていないお金」
という点では似ています。
しかし、 何を購入したことで発生した債務なのかによって、 一般的な使い分けが異なります。
さらに、 クレジットカード払いでは未払金を使うことが多いため、
「カードで商品を仕入れたら買掛金?未払金?」
「12月に買って1月に払ったら何年の経費?」
「未払費用とは何が違う?」
と迷う方も多いでしょう。
この記事では、 個人事業主向けに 買掛金・未払金・未払費用の違い、発生時・支払時・クレジットカード・年末残高 まで具体的な仕訳例で解説します。
まず結論
・販売する商品・材料などを掛けで仕入れた → 買掛金
・備品・消耗品・広告費などを後払いで購入 → 未払金
・事業用クレジットカードで経費を支払った → 未払金を使うのが一般的
・買掛金を支払った → 買掛金 / 普通預金
・未払金を支払った → 未払金 / 普通預金
・12月に発生し1月に支払う債務 → 原則として12月末に買掛金・未払金として残る
買掛金と未払金の違いとは?
買掛金と未払金は、 どちらも将来支払わなければならない 負債 です。
大きな違いは、 どのような取引から発生した債務なのか です。
| 勘定科目 | 主な内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 買掛金 | 本業の商品・材料などの仕入代金で未払いのもの | 販売商品、原材料などの掛仕入 |
| 未払金 | 通常の仕入以外の取引から生じた未払い債務 | 備品、消耗品、広告費、固定資産、カード利用代金など |
簡単に覚えるなら、
販売する商品等の掛仕入 → 買掛金
それ以外の後払い → 未払金
と考えると分かりやすいでしょう。
現役税務会計スタッフのワンポイント
「まだ払っていないから全部未払金」 ではありません。 本業で販売する商品などの仕入代金なら、 一般的には買掛金 として管理します。
商品を掛けで仕入れた場合は「買掛金」
たとえば、 ネットショップを運営している個人事業主が、 販売用の商品110,000円を仕入れ、 代金を翌月支払うとします。
商品を仕入れたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 110,000円 | 買掛金 | 110,000円 |
この仕訳によって、
「110,000円分を仕入れたが、 まだ代金を支払っていない」
という状態を記録します。
翌月に110,000円を支払ったとき
| 買掛金 | 110,000円 | 普通預金 | 110,000円 |
支払時には、 もう一度「仕入」を計上しません。
すでに商品を仕入れた時点で仕入を計上しているため、 支払時は 買掛金という負債を消すだけです。
支払時にもう一度「仕入」を計上しない
掛仕入時に「仕入 / 買掛金」を計上したあと、 支払時にも「仕入 / 普通預金」とすると、 同じ仕入を2回計上 してしまいます。
備品・消耗品などの後払いは「未払金」
一方、 通常の商品の仕入ではなく、 事業で使う備品・消耗品・サービスなどを後払いにした場合には、 一般的に 未払金 を使います。
たとえば、 仕事用の事務用品22,000円を購入し、 請求書払いで翌月支払う場合です。
事務用品を購入したとき
| 消耗品費 | 22,000円 | 未払金 | 22,000円 |
翌月に支払ったとき
| 未払金 | 22,000円 | 普通預金 | 22,000円 |
こちらも、 支払時に再び消耗品費を計上するわけではありません。
クレジットカード払いは買掛金?未払金?
個人事業主のクレジットカード利用では、 一般的に 未払金 を使うと分かりやすいです。
たとえば、 事業用クレジットカードで 消耗品33,000円を購入したとします。
カードを利用したとき
| 消耗品費 | 33,000円 | 未払金 | 33,000円 |
カード代金が銀行から引き落とされたとき
| 未払金 | 33,000円 | 普通預金 | 33,000円 |
カード会社に対して 後日支払う義務が発生しているため、 未払金として管理します。
商品をクレジットカードで仕入れたら買掛金?
ここは少し迷いやすいところです。
通常の掛仕入で、 仕入先に対する債務が残っている場合には 買掛金を使います。
一方、 クレジットカードで決済し、 支払先がカード会社になっている場合は、 実務上 未払金として管理する方法が一般的 です。
たとえば、 販売商品55,000円を事業用カードで仕入れた場合には、
| 仕入 | 55,000円 | 未払金 | 55,000円 |
などとして処理できます。
現役税務会計スタッフのワンポイント
商品を買ったかどうかだけでなく、 「誰に対して未払いになっているのか」 も確認すると整理しやすくなります。 通常の掛仕入は買掛金、カード会社への後払いは未払金とすると帳簿も確認しやすいです。
買掛金と未払金と「未払費用」の違い
買掛金・未払金と似た勘定科目に 未払費用 があります。
未払費用は、 継続的にサービスの提供を受ける契約について、 すでにサービスを受けた部分のうち まだ支払っていない金額を表す科目です。
たとえば、
- 借入金の未払利息
- 継続契約に基づく賃借料
- 一定期間に対応するサービス料金
などで使われることがあります。
| 科目 | 主な内容 |
|---|---|
| 買掛金 | 商品・材料など通常の仕入代金の未払い |
| 未払金 | 仕入以外の確定した取引代金の未払い |
| 未払費用 | 継続的なサービスについて、すでに提供を受けた期間分の未払い |
個人事業主の通常の記帳では、 特に 買掛金と未払金を正しく区分すること から意識するとよいでしょう。
12月に購入して1月に支払った場合は?
確定申告で重要なのが、 年をまたぐ買掛金・未払金 です。
たとえば、 2026年12月20日に 事業用消耗品50,000円を購入し、 代金を2027年1月31日に支払うとします。
通常の発生主義による記帳では、 支払日が2027年だからといって すべて2027年の取引になるわけではありません。
2026年12月20日
| 消耗品費 | 50,000円 | 未払金 | 50,000円 |
2027年1月31日
| 未払金 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 |
12月31日時点では、 未払金50,000円が負債として残ります。
「1月に払ったから翌年の経費」と決めない
一般的な発生主義の記帳では、 支払日だけで必要経費の年を判断しません。 商品・サービスの提供時期や債務が確定した時期を確認しましょう。
年末に買掛金・未払金が残っていても問題ない?
問題ありません。
12月31日時点で まだ支払っていない仕入代金や経費があれば、 買掛金・未払金が残るのは通常です。
むしろ大切なのは、 帳簿の残高と実際の未払額が一致していること です。
たとえば、 年末に
- A社への商品仕入:150,000円
- B社への商品仕入:100,000円
が未払いなら、 買掛金残高は250,000円となります。
また、
- クレジットカード:80,000円
- 広告会社:30,000円
が未払いなら、 未払金残高は110,000円となります。
現役税務会計スタッフのワンポイント
確定申告前は、 12月末の買掛金・未払金と、 翌年1〜2月の支払明細を照合 すると残高間違いを見つけやすくなります。
白色申告でも買掛金・未払額は確認が必要
「買掛金は青色申告だけの話」 ではありません。
国税庁が案内する白色申告者向けの簡易な記帳方法でも、 掛仕入について支払時に記帳する方法を採る場合には、 年末の買掛金残高を記載 することとされています。
また、 仕入以外の費用についても、 出金時に記帳する簡易な方法を採る場合は 年末における未払額・前払額 を記載することとされています。
したがって、 青色・白色を問わず、 年末時点の未払いを把握しておくことが重要です。
買掛金の支払時に振込手数料が発生した場合
買掛金100,000円を銀行振込で支払い、 振込手数料440円を自分が負担したとします。
この場合、 買掛金と振込手数料は分けて処理します。
| 買掛金 | 100,000円 | 普通預金 | 100,440円 |
| 支払手数料 | 440円 |
個人口座から買掛金・未払金を支払った場合
事業用の買掛金・未払金を 個人口座から支払うこともあります。
その場合は、 事業主借 を使って処理できます。
買掛金50,000円を個人口座から支払った場合
| 買掛金 | 50,000円 | 事業主借 | 50,000円 |
支払方法が個人口座になっただけなので、 仕入をもう一度計上するわけではありません。
固定資産を後払いで買った場合も未払金
パソコン・カメラ・設備などの固定資産を 後払いで購入した場合も、 通常は未払金を使います。
たとえば、 仕事用設備500,000円を購入し、 翌月支払う場合です。
| 工具器具備品 | 500,000円 | 未払金 | 500,000円 |
この場合、 500,000円を支払った時点で 全額必要経費になるわけではありません。
固定資産側について、 法定耐用年数などに基づいて 減価償却を行います。
買掛金と売掛金は反対の関係
買掛金とセットで覚えておきたいのが 売掛金 です。
売掛金は、 本業の売上について まだ代金を受け取っていない場合に使います。
一方、 買掛金は、 本業の商品等を仕入れて まだ代金を支払っていない場合に使います。
| 科目 | 意味 | 分類 |
|---|---|---|
| 売掛金 | まだ受け取っていない本業の売上代金 | 資産 |
| 買掛金 | まだ支払っていない本業の商品等の仕入代金 | 負債 |
年末の買掛金・未払金を確認する方法
確定申告前には、 12月31日時点の残高を 取引先別・カード別に確認しましょう。
確認する資料としては、
- 仕入先からの請求書
- 買掛帳
- クレジットカード利用明細
- 未払金元帳
- 翌年1月以降の銀行支払
などがあります。
たとえば、 帳簿上の買掛金が300,000円なのに、 実際の請求書を合計すると250,000円しかない場合には、 50,000円の差額を確認する必要があります。
買掛金・未払金が合わないときの主な原因
残高が一致しないときは、 次のような処理ミスがないか確認します。
| よくあるミス | 結果 |
|---|---|
| 支払時に負債を消していない | 買掛金・未払金が残り続ける |
| 支払時にもう一度経費を計上 | 経費が二重計上される |
| カード利用を記帳し忘れた | 未払金・経費が不足する |
| 個人カードを事業カードとして処理 | 未払金と事業主借が混在する |
| 買掛金と未払金を混同 | 取引先別残高が分かりにくくなる |
買掛金・未払金がマイナスなら確認
通常の取引で買掛金・未払金残高がマイナスになっている場合は、 支払の二重入力や、発生時の仕訳漏れ などがないか確認しましょう。
買掛金・未払金管理は会計ソフトを使うと楽になる
取引件数が増えると、
- 仕入先ごとの買掛金
- カード会社ごとの未払金
- 請求書払いの未払金
- 銀行からの支払
を手作業で照合する負担が大きくなります。
特にクレジットカードは、 購入日と銀行引落日が異なるため、 二重計上や消込漏れが起こりやすい取引です。
クラウド会計ソフトに 銀行口座・クレジットカードを連携しておけば、 明細を取り込みながら 買掛金・未払金を管理しやすくなります。
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買掛金・未払金の年末チェックリスト
□ 商品・材料の掛仕入を買掛金で管理した
□ 備品・経費等の後払いを未払金で管理した
□ クレジットカード利用の未払金を確認した
□ 支払時に経費を二重計上していない
□ 12月分で翌年支払いの取引を確認した
□ 仕入先別の買掛金残高を確認した
□ カード会社別の未払金残高を確認した
□ 翌年1〜2月の支払いと照合した
□ 買掛金・未払金が不自然なマイナスになっていない
よくある質問
Q. 買掛金と未払金は何が違いますか?
一般的には、 本業の商品・材料などの掛仕入から生じる債務が買掛金、 それ以外の備品・経費・固定資産などの後払い債務を 未払金として区分します。
Q. クレジットカードは買掛金ですか?
一般的な事業用クレジットカード利用は、 未払金 として管理すると分かりやすいです。
カード会社への支払債務として記録し、 銀行引落時に未払金を消します。
Q. 商品をカードで仕入れた場合は?
借方は「仕入」ですが、 カード決済によってカード会社への支払債務が発生するため、 貸方を未払金として管理する方法が一般的です。
Q. 買掛金を払ったときも仕入を計上しますか?
いいえ。
掛仕入時にすでに仕入を計上しているので、 支払時は 買掛金 / 普通預金 として買掛金を消します。
Q. 12月の仕入を1月に払ったら翌年の仕入ですか?
一般的な発生主義の記帳では、 支払日だけで仕入の年を判断しません。
12月中に仕入取引が成立していれば、 12月に仕入を計上し、 12月31日時点では買掛金として残ることがあります。
Q. 年末に買掛金が残っていても大丈夫ですか?
はい。
まだ支払っていない掛仕入があれば、 年末に買掛金残高があるのは通常です。
帳簿残高と実際の請求書が一致しているか確認しましょう。
Q. 未払金と未払費用は同じですか?
同じではありません。
未払金は、 備品購入などすでに確定した取引代金の未払いに使われるのが一般的です。
未払費用は、 継続的にサービス提供を受ける契約について、 すでに提供を受けた期間分のうち未払いとなっている金額を表します。
まとめ|商品仕入は買掛金、それ以外の後払いは未払金
買掛金と未払金は、 どちらもまだ支払っていない負債ですが、 発生した取引の内容が異なります。
商品・材料など 本業の通常の掛仕入なら買掛金、 備品・経費・クレジットカードなどの後払いなら 未払金として整理すると分かりやすいでしょう。
また、 発生時にすでに仕入・経費を計上している場合、 支払時にもう一度仕入・経費を計上しない ことが重要です。
この記事のまとめ
・商品・材料の掛仕入は買掛金
・備品・経費等の後払いは未払金
・カード利用は未払金で管理するのが一般的
・支払時は買掛金・未払金を消す
・支払時に仕入・経費を二重計上しない
・未払費用は継続的なサービスの期間対応で使われる科目
・年末に買掛金・未払金が残ること自体は問題ない
・年末残高は請求書・カード明細・翌年支払と照合する
現役税務会計スタッフのワンポイント
買掛金・未払金は、 「まだ払っていない金額を記録するだけの科目」ではなく、 支払漏れ・二重計上・年末の経費計上漏れを確認する重要な負債科目 です。 確定申告前には必ず残高を確認しましょう。
買掛金・未払金の仕訳で迷っているケースはありますか?
「商品をクレジットカードで仕入れた」 「12月の請求を1月に払った」 「未払金と未払費用の違いが分からない」など、 記事を読んでも分かりにくかった点があればコメントで教えてください。 今後の記事・FAQ作成の参考にさせていただきます。
参考:公的情報
個人事業主の買掛金・未払額・帳簿の記帳については、 国税庁の最新情報も確認してください。

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