売掛金と未収入金の違いとは?入金時の仕訳・年末残高を個人事業主向けに解説

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個人事業主が帳簿を付けていると、 よく似た勘定科目として 「売掛金」と「未収入金」 が出てきます。

どちらも、

「まだお金を受け取っていない金額」

を表す点では似ています。

しかし一般的には、 何の取引から発生した債権なのか によって使い分けます。

また、 売掛金が年末に残っている場合、

「まだ入金されていないから翌年の売上?」

と考えてしまうと、 確定申告の売上を間違える可能性があります。

この記事では、 個人事業主向けに、 売掛金と未収入金の違い・売上時・入金時・年またぎ・年末残高 まで具体的な仕訳例で解説します。

まず結論

・本業の商品・サービスを販売して後日入金 → 売掛金

・本業の通常の売上以外から生じた未回収金 → 未収入金を使うのが一般的

・売掛金が発生したとき → 売掛金 / 売上

・後日入金されたとき → 普通預金 / 売掛金

・12月の売上が翌年1月に入金 → 原則として12月側の年の売上

・年末に残った売掛金 → 翌年の売上としてもう一度計上しない

目次

売掛金と未収入金の違いとは?

売掛金と未収入金は、 どちらも 将来お金を受け取る権利=債権 を表す資産の勘定科目です。

一般的な使い分けは次のとおりです。

勘定科目 主な内容 例
売掛金 本業の売上から発生した未回収代金 商品代、制作料、コンサル料、業務委託報酬など
未収入金 通常の本業売上以外の取引から発生した未回収金 固定資産売却代金など、本業の通常売上以外の債権

つまり、

本業の売上 → 売掛金
本業以外の未回収債権 → 未収入金

と覚えると分かりやすいです。

現役税務会計スタッフのワンポイント

「まだ入金されていない=全部未収入金」 ではありません。 普段の仕事で発生した売上代金なら、 基本的には売掛金として管理すると分かりやすいです。

本業の報酬が後日入金されるなら「売掛金」

個人事業主・フリーランスでは、 仕事をしたその日に現金を受け取るのではなく、

  • 月末締め
  • 翌月末払い
  • 請求書発行後に銀行振込

という取引も多いでしょう。

このような本業の売上について、 売上を計上した時点ではまだ入金されていない場合に 売掛金を使います。

110,000円の仕事が完了した場合

10月31日に仕事が完了し、 110,000円の売上を計上するとします。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 110,000円 売上 110,000円

この仕訳で、

  • 売上110,000円が発生した
  • まだ110,000円を受け取っていない

という2つの状態を記録できます。

翌月に110,000円が振り込まれた場合

普通預金 110,000円 売掛金 110,000円

入金時には、 売上をもう一度計上しません。

すでに10月31日に売上110,000円を計上しているため、 入金時は 売掛金という債権が現預金へ変わっただけ です。

入金時に「普通預金 / 売上」にすると二重計上になる

売掛金を発生させた時点ですでに売上を計上しています。 後日の入金でもう一度売上を計上すると、 同じ売上を2回計上することになるので注意しましょう。

未収入金はどんなときに使う?

未収入金も、 将来お金を受け取る権利を表す資産です。

ただし一般的には、 本業の通常の売上以外から発生した債権 に使います。

たとえば、

  • 事業用の固定資産を売却し、代金が後日入金される
  • 通常の売上ではない金銭を後日受け取る権利が確定した

といったケースです。

なお、 未収入金を計上するときの 相手側の勘定科目や税務上の所得区分は、 その取引内容によって変わります。

たとえば、 個人事業主が事業用固定資産を売却した場合は、 単純に通常の「売上」として処理すればよいとは限りません。

すでに計上した未収入金50,000円が入金された場合

普通預金 50,000円 未収入金 50,000円

売掛金と同じように、 入金されたら未収入金の残高を消します。

現役税務会計スタッフのワンポイント

売掛金と未収入金は、 入金されていないという理由だけで分ける科目ではありません。 「本業の通常売上から発生したものか?」 を最初に確認すると判断しやすくなります。

売掛金・未収入金・売上の違い

初心者の方が特に混同しやすいのが、 「売上」と「売掛金」です。

この2つは役割がまったく違います。

勘定科目 分類 意味
売上 収益 事業で得た収入
売掛金 資産 本業の売上について、まだ受け取っていない代金
未収入金 資産 通常の本業売上以外から生じた未回収債権

売掛金を計上したからといって、 売上が減ったりなくなったりするわけではありません。

売上と同時に「まだ回収していない資産」が発生する と考えましょう。

12月の売上が翌年1月に入金された場合

確定申告で特に重要なのが、 年をまたぐ売掛金です。

たとえば、 2026年12月25日に仕事が完了し、 売上110,000円が確定したものの、 入金が2027年1月31日だったとします。

この場合、 入金が2027年だからといって 2027年の売上にするわけではありません。

原則として、 収入すべき権利が2026年中に確定しているのであれば、 2026年分の売上 として計上します。

2026年12月25日

売掛金 110,000円 売上 110,000円

2027年1月31日

普通預金 110,000円 売掛金 110,000円

2027年1月の入金時には 売上を計上しません。

年末に売掛金が残っていても問題ない?

問題ありません。

12月31日時点でまだ入金されていない売上があれば、 売掛金が年末残高として残るのは正常です。

たとえば、 12月31日時点で、

  • A社:100,000円
  • B社:200,000円
  • C社:50,000円

が未入金なら、 年末の売掛金残高は 350,000円 です。

青色申告で貸借対照表を作成する場合には、 年末時点の売掛金などの資産残高を正しく整理する必要があります。

売掛金残高が「0円」である必要はない

年末までにすべて入金されていなければならない、 という意味ではありません。 大切なのは、 実際の未回収額と帳簿上の売掛金残高が一致していること です。

年末の売掛金は確定申告の売上に含める?

原則として含めます。

所得税では、 実際に代金を受け取ったかどうかだけでなく、 その年に収入すべき権利が確定したか によって収入時期を判断します。

そのため、 12月に売上として確定していて 翌年1月に入金される売掛金は、 原則として 12月側の年の総収入金額 に含まれます。

「まだ入金されていないから確定申告に入れなくていい」 とは限らないので注意してください。

現役税務会計スタッフのワンポイント

確定申告前は、 12月分の請求書と12月31日時点の売掛金残高を必ず照合 しましょう。 1月入金だから翌年の売上としてしまうと、 売上計上年がずれる原因になります。

白色申告でも売掛金を確認する必要がある?

はい。

白色申告だから 入金された金額だけ確認すればよい、 というわけではありません。

国税庁が認める簡易な記帳方法でも、 掛売上を入金時に記載する方法を採った場合には、 年末時点の売掛金残高を記載 することとされています。

そのため、 青色申告・白色申告を問わず、 年末の未回収売上を把握しておくことが重要です。

請求書を出していなければ売掛金ではない?

請求書を発行したかどうかだけで、 売上の計上時期が決まるわけではありません。

実際には、

  • 商品を引き渡した日
  • サービスを完了した日
  • 契約内容
  • 取引慣行
  • 報酬を受け取る権利が確定した時期

などによって判断します。

そのため、 12月に仕事が完了して権利が確定しているにもかかわらず、 請求書を翌年1月に発行したという理由だけで すべて翌年売上になるとは限りません。

売掛金の入金額が請求額より少ない場合

売掛金100,000円に対して、 実際には99,560円しか入金されないことがあります。

この場合、 差額440円を自動的に消してはいけません。

まず、

  • 振込手数料
  • 源泉所得税
  • 売上値引き
  • 単なる未払い

など、 なぜ請求額と入金額が違うのか を確認します。

売掛金を回収できなくなった場合は?

売掛金が長期間入金されず、 取引先の倒産などによって 回収できない状態になることもあります。

一定の要件を満たして 回収不能であることが明らかになった場合には、 貸倒金として必要経費にできるケース があります。

また、 青色申告者については、 事業上生じた一定の売掛金・未収入金などについて、 貸倒れに備えて 貸倒引当金 を設定できる場合があります。

ただし、 単に 「半年入金がない」 「連絡が取りにくい」 というだけで、 自由に売掛金を消して経費にできるわけではありません。

古い売掛金を理由なく消さない

年末に古い売掛金が残っている場合は、 すぐ貸倒処理するのではなく、 取引先別に残高の内容・入金予定・回収状況 を確認しましょう。

年末の売掛金残高は税務調査でも確認されやすいポイント

売掛金は、 売上の計上漏れと関係しやすい勘定科目です。

たとえば、 12月に仕事を完了しているにもかかわらず、 翌年1月に入金されたからという理由で 翌年売上にしていると、 当年の売上が少なくなります。

年末には、

  • 請求書
  • 売掛帳
  • 銀行入金
  • 契約書
  • 翌年1〜2月の入金

などを照合して、 売上の計上漏れがないか確認しましょう。

売掛金と未収入金のよくある間違い

よくある処理 注意点
後日入金なら全部「未収入金」 本業の売上債権なら一般に売掛金
売掛金の入金時に再び売上計上 売上の二重計上になる
1月入金だから翌年売上 収入すべき時期が前年なら前年売上
入金差額を適当に売掛金から消す 振込手数料・源泉徴収・値引き等を確認
古い売掛金を年末に勝手に消す 貸倒処理には要件がある

売掛金管理は会計ソフトを使うと分かりやすい

取引先が増えると、

  • 誰にいくら請求したか
  • いつ入金予定か
  • どの売掛金が入金済みか
  • 振込手数料や源泉徴収で差額がないか
  • 年末にいくら未回収なのか

を手作業で管理する負担が大きくなります。

銀行口座と会計ソフトを連携すれば、 入金明細を確認しながら 売掛金を消し込めるため、 記帳ミスを減らしやすくなります。

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年末の売掛金チェックリスト

□ 12月までに発生した売上を確認した

□ 翌年1月以降に入金される売上を確認した

□ 取引先ごとの売掛金残高を確認した

□ 請求書と売掛帳を照合した

□ 銀行入金と売掛金の消込を確認した

□ 入金差額の理由を確認した

□ 売掛金と未収入金を使い分けた

□ 古い未回収債権を放置していない

よくある質問

Q. 売掛金と未収入金は何が違いますか?

一般的には、 本業の通常の売上から発生した未回収代金が売掛金、 それ以外の取引から発生した未回収債権を未収入金として区分します。

Q. フリーランスの報酬は売掛金ですか?

本業として行っている仕事の報酬で、 仕事完了後に代金を後日受け取る場合には、 一般的に売掛金として処理します。

Q. 売掛金が入金されたときも売上を計上しますか?

売掛金を計上した時点ですでに売上を計上しているため、 入金時にはもう一度売上を計上しません。

「普通預金 / 売掛金」 として売掛金を消します。

Q. 12月の仕事代が1月に振り込まれたら何年の売上ですか?

収入すべき権利が12月中に確定している場合は、 原則として 12月側の年の売上 になります。

単純に入金日だけで判断するものではありません。

Q. 年末に売掛金が残っていても大丈夫ですか?

はい。

まだ回収されていない売上代金があれば、 12月31日時点で売掛金残高が残るのは通常です。

実際の未回収額と帳簿残高が一致しているか確認しましょう。

Q. 売掛金がずっと入金されなければ経費にできますか?

単に入金が遅れているだけで、 自由に経費へ振り替えられるわけではありません。

一定の貸倒れ要件を満たす場合には、 貸倒金として必要経費にできるケースがあります。

Q. 「未収金」と「未収入金」は違いますか?

会計ソフトなどによって 「未収金」「未収入金」という名称が使われることがあります。

実務上は、 本業の通常売上以外から発生した債権を管理する科目として 同様の意味合いで使われることもあります。

大切なのは名称だけではなく、 どの取引から発生した債権なのかを継続して区分することです。

まとめ|本業の売上なら売掛金、入金時は二重計上しない

売掛金と未収入金は、 どちらもまだ受け取っていない金銭を表しますが、 一般的な使い分けは異なります。

特に個人事業主が注意したいのは、 売掛金を入金したときに売上をもう一度計上しないこと と、 年末の未入金売上を漏らさないことです。

この記事のまとめ

・本業の売上債権は一般に売掛金

・本業以外の未回収債権には未収入金を使うのが一般的

・売上発生時は「売掛金 / 売上」

・入金時は「普通預金 / 売掛金」

・入金時にもう一度売上を計上しない

・年またぎは入金日だけで売上年を判断しない

・12月31日時点の売掛金残高を確認する

・古い売掛金は回収状況を確認する

現役税務会計スタッフのワンポイント

売掛金は単なる「未入金一覧」ではなく、 売上の計上漏れ・二重計上・回収漏れを確認する重要な勘定科目です。 月末・年末には取引先別の残高と実際の請求書・入金を照合する習慣をつけましょう。

売掛金の仕訳で迷っているケースはありますか?

「12月の仕事が翌年入金」 「振込手数料を引かれた」 「未収入金とどちらを使う?」など、 記事を読んでも分かりにくかった点があればコメントで教えてください。 今後の記事・FAQ作成の参考にさせていただきます。

参考:公的情報

事業所得の収入時期・売掛金の記帳・貸倒れについては、 国税庁の最新情報もあわせて確認してください。

所得税基本通達|収入金額の収入すべき時期|国税庁

個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁

青色申告決算書・貸借対照表等の手引き|国税庁

貸倒金|国税庁 確定申告書等作成コーナー

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この記事を書いた人

biz-zeimu編集長(現役70社担当)のアバター biz-zeimu編集長(現役70社担当) 税務・会計メディア運営

東京都内の会計事務所に勤務する現役の税務・会計スタッフ。法人および個人事業主をあわせて常時70社以上の税務・会計実務をダイレクトに担当。現場で日々生じるリアルな決算・申告・経理課題の解決に携わる。

また、大学院において専門的な税法論文を執筆したバックグラウンドを持ち、法令に基づく厳密な理論と、現場の実務感覚の両面から正確な税務知識の追及を徹底している。

本メディア(biz-zeimu)では、多忙な一人社長や個人事業主に向けて、以下のノウハウを忖度なく発信。

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