「個人事業主から法人化すると、税金はどれくらい変わる?」
「法人税以外にも、住民税や事業税を払う必要があるの?」
法人化を検討するとき、多くの方が気になるのは税金の負担です。
個人事業主と法人では、課税される税金の種類や計算方法が異なります。法人化すると所得税の代わりに法人税がかかるだけでなく、法人住民税・法人事業税・地方法人税などの確認も必要です。
また、会社が社長へ役員報酬を支払う場合は、社長個人の所得税や源泉徴収の手続きも発生します。
この記事では、2026年の税制に基づき、法人化後にかかる税金の種類・税率・納付時期を、現役税務会計スタッフがわかりやすく解説します。
この記事の結論
- 法人化後は法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税などが発生する
- 中小法人の法人税率は、要件を満たせば年800万円以下の所得部分について15%(適用期限・例外あり)
- 赤字でも法人住民税の均等割がかかる場合がある
- 消費税は新設法人でも課税されるケースがある
- 2026年4月開始事業年度から防衛特別法人税の申告にも注意
- 税負担の比較では社長個人の税金と社会保険料も含めて判断する
法人化後にかかる税金一覧【2026年版】
まずは、法人が負担する主な税金と、会社が源泉徴収して納付する税金を一覧で確認しましょう。
| 税金の種類 | 主な課税対象・役割 | 赤字の場合 |
|---|---|---|
| 法人税 | 法人の課税所得 | 原則発生しない |
| 地方法人税 | 法人税額を基礎に計算 | 原則発生しない |
| 法人住民税 | 法人税割+均等割 | 均等割は原則発生 |
| 法人事業税 | 原則として事業所得など | 一般的な小規模法人は原則発生しない |
| 特別法人事業税 | 基準法人所得割額など | 一般的な小規模法人は原則発生しない |
| 防衛特別法人税 | 一定の法人税額から控除額を差し引いた額 | 通常は税額ゼロでも申告が必要 |
| 消費税・地方消費税 | 課税取引等に基づいて計算 | 赤字でも納税する場合がある |
| 源泉所得税 | 給与・一定の報酬等から徴収して納付 | 会社の赤字とは別に判定 |
このほか、事業用の土地・建物・償却資産を所有する場合には固定資産税など、契約や登記の内容によっては印紙税・登録免許税などがかかります。
なお、源泉所得税は、基本的に会社が社長や従業員などから徴収して国へ納める税金です。法人の利益に直接課税する法人税とは性質が異なります。
法人化すると、税金を計算する主体も変わります。個人事業主と法人の基本的な違いを知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
① 法人税|法人の利益にかかる国税
法人税は、法人の課税所得に対して課される国税です。
個人事業主の場合、事業所得などは個人の所得税の計算対象となります。一方、法人化後は会社の所得について法人税を計算し、社長個人の役員報酬は給与所得として別に計算します。
2026年の法人税率は何%?
一般的な資本金1億円以下の中小法人では、一定の要件を満たす場合、2027年3月31日までに開始する事業年度について、年800万円以下の所得部分に15%の軽減税率が適用されます。
| 所得区分 | 法人税率 |
|---|---|
| 年800万円以下の部分 | 15%(要件を満たす中小法人) |
| 年800万円超の部分 | 23.2% |
※2026年に開始する事業年度を想定した基本例です。資本金だけで中小法人の適用を判定できるわけではありません。大法人による支配関係、適用除外事業者、所得が年10億円を超える場合などには異なる税率が適用されます。短期事業年度では年800万円の基準にも調整があります。
利益500万円なら法人税はいくら?
例えば、法人の課税所得が500万円で、軽減税率15%を適用できる場合を考えます。
法人税の簡易計算例
課税所得500万円 × 15%
= 75万円
※税額控除等を考慮しない国税の法人税のみの例です。地方法人税・法人住民税・事業税などは含まれていません。
ここでいう課税所得は、会計上の利益と必ずしも同じではありません。会計上の利益に税務上の加算・減算などを反映して計算します。
法人税の税率だけを見て「個人事業主より得」と判断しないことが重要です。
② 地方法人税|法人税とは別の国税
名前に「地方」とありますが、地方法人税は国へ納める税金です。
税率は原則として、基準法人税額の10.3%です。
例えば、基準法人税額が75万円なら、単純計算で地方法人税は77,250円となります。
ただし、地方法人税は法人の所得に10.3%を直接かけるものではありません。また、実際の計算では税額控除等によって基準となる法人税額の取扱いが変わる場合があります。
法人税と地方法人税は、原則として同じ時期に申告・納付します。
③ 法人住民税|赤字でも均等割に注意
法人住民税は、都道府県と市区町村に納める地方税です。
主に「法人税割」と「均等割」の2つで構成されます。
法人税割
法人税割は、法人税額を基礎として計算する税金です。
税率は自治体や法人の条件によって異なります。法人税額がゼロであれば、通常、法人税割もゼロになります。
均等割|赤字でも原則として課税
均等割は、法人の資本金等の額や従業者数、事務所の所在期間などに応じて課される税金です。
代表的な小規模法人では、年間7万円という金額がよく紹介されます。
例えば、東京都23区内のみに事務所があり、資本金等の額が1,000万円以下、従業者数50人以下という条件の法人では、標準的な年額は7万円です。
ただし、すべての法人が一律7万円になるわけではありません。本店所在地、複数自治体への事務所設置、資本金等の額、従業者数、事務所の所在月数などによって異なります。
注意:赤字でも固定費がゼロになるわけではない
利益が出ていない法人でも、法人住民税の均等割が原則として課されます。法人化すると、個人事業主時代にはなかった固定的な税負担が生じる可能性があります。
なお、法人住民税の均等割については、次の記事91で金額や自治体ごとの違いを詳しく取り上げる予定です。
④ 法人事業税・特別法人事業税
法人事業税は、都道府県に納める地方税です。
一般的な中小法人では、主として所得に応じて税額を計算します。
法人税とは別の税金であり、適用税率は所得区分、事業年度、法人の区分、自治体などによって変わります。
法人事業税は利益によって変わる
例えば、東京都の一般的な所得課税法人では、年400万円以下、年400万円超800万円以下、年800万円超など、所得区分に応じて税率が設定されています。
ただし、超過税率の適用、軽減税率の適用可否、事業の種類などによって税率が変わるため、すべての法人に同じ税率が適用されるわけではありません。
特別法人事業税も合わせて確認
特別法人事業税は、法人事業税と合わせて申告・納付する国税です。
通常の小規模法人では、法人事業税の所得割などを基礎に税額が計算されます。
そのため、法人事業税だけでなく、特別法人事業税も含めた負担を確認しましょう。
なお、法人事業税や特別法人事業税は、法人税の計算上、原則として損金算入の対象となります。実際の損金算入時期は申告や納税の状況に応じて判断します。
現役税務会計スタッフのワンポイント
法人化後の税額を見積もる際、法人税率15%だけで計算してしまうのは避けましょう。法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税を合わせて把握する必要があります。さらに、会社の税金と社長個人の税金は分けて比較することが大切です。
⑤ 防衛特別法人税|2026年からの新しい税金
2026年4月1日以後に開始する事業年度から、防衛特別法人税が導入されています。
基本的には、一定の税額控除を適用する前の法人税額を基礎に、年500万円の基礎控除額を差し引いた金額へ4%の税率を乗じて計算します。
防衛特別法人税の基本的な仕組み
(基準法人税額 − 基礎控除額)× 4%
※通常の1年事業年度では基礎控除額は500万円。短期事業年度では月数による調整などがあります。税額控除等の詳細計算は省略しています。
例えば、基準法人税額が100万円で、基礎控除額500万円を差し引ける法人なら、防衛特別法人税額はゼロになります。
しかし、税額がゼロでも、対象となる法人には原則として防衛特別法人税の確定申告が必要です。
納付税額がないから申告自体も不要と判断しないようにしましょう。
⑥ 消費税|法人化後に免税になるとは限らない
消費税は、法人化した場合でも重要な税金です。
新設法人では、通常、設立1期目・2期目に基準期間がないため、一定の要件を満たす場合には消費税の納税義務が免除されます。
ただし、次のような場合には免税とならない可能性があります。
- 基準期間のない事業年度の開始日に資本金等が1,000万円以上である
- 特定新規設立法人などの例外に該当する
- 設立2期目の特定期間の判定で課税事業者となる
- 法人としてインボイス登録を受けている
- 課税事業者を選択している
また、個人事業主時代の課税売上高が、新設法人の基準期間の課税売上高にそのまま引き継がれるわけではありません。
一方で、個人事業主のインボイス登録番号も法人には引き継げないため、法人として適格請求書を発行する場合は別途登録が必要です。
消費税の免税条件や、2026年以降のインボイス経過措置については、次の記事で詳しく解説しています。
⑦ 源泉所得税|役員報酬や給与を支払う会社は注意
法人化して社長へ役員報酬を支払う場合、会社は原則として所得税等を源泉徴収し、税務署へ納付します。
例えば、会社が社長へ毎月30万円の役員報酬を支払う場合、社会保険料等を控除した後の金額や扶養人数、適用する税額表などに基づいて源泉徴収税額を確認します。
源泉徴収した税金は、原則として給与等を支払った月の翌月10日までに納付します。
納期の特例を使えば年2回にまとめられる
給与を支払う人員が常時10人未満で、所定の承認を受けている場合は、給与などから源泉徴収した税金を年2回にまとめて納付する「納期の特例」を利用できます。
| 対象期間 | 納期限 |
|---|---|
| 1月〜6月支払分 | 7月10日 |
| 7月〜12月支払分 | 翌年1月20日 |
※土日祝日等に当たる場合は原則として翌開庁日です。納期の特例はすべての源泉徴収対象報酬に適用されるわけではありません。
会社の源泉所得税は、法人の利益とは直接関係しないため、赤字でも給与等を支払っている場合には手続きが必要になることがあります。
法人化前に「会社と個人の税金」を比較する
法人化で税金を比較するときは、会社の法人税等だけでなく、社長個人の税金や社会保険料も確認する必要があります。
例えば、役員報酬を高く設定すると、一定の要件を満たせば会社の損金が増え、法人税の対象となる所得が減る方向に働きます。
一方、社長個人では給与所得が増え、所得税・住民税・社会保険料に影響します。
そのため、単純に法人税率と個人の所得税率を比較するだけでは、法人化の有利・不利は判断できません。
現役税務会計スタッフのワンポイント
法人化の税負担を考える場合は、会社の税金・社長個人の税金・社会保険料・会社の維持費をそれぞれ計算して比較することが重要です。設立後の役員報酬は自由に変更できるとは限らないため、設立前に複数の報酬パターンを試算しておくと判断しやすくなります。
法人化後の税負担に迷ったら専門家へ相談する
個人事業から法人への移行では、税金の種類が増え、社長自身への給与の決め方も重要になります。
法人化専門の税理士に相談することで、個人事業を続ける場合と法人化した場合の税負担、法人設立後の維持費などを整理できます。
利益の水準によっては、法人化せず個人事業を続ける方が有利になることもあります。無理に法人化を決める必要はありません。
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法人化すると、
税金はいくら変わる?
法人化のタイミングや税負担を
専門の税理士に無料で相談できます。
無料相談で確認できる3つのこと
税金を比較
個人事業と法人の
税負担を試算
維持費を確認
会社設立後の費用や
注意点を整理
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Zoom面談で
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※無料相談の対象・条件は公式ページをご確認ください。
法人化後の税金はいつ払う?申告・納付期限一覧
法人化後は、法人税などの決算に関係する税金と、毎月・半年ごとに納付する税金を分けて管理しましょう。
| 税金 | 原則的な確定申告・納付時期 |
|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 事業年度終了日の翌日から2か月以内 |
| 法人住民税・法人事業税・特別法人事業税 | 原則、事業年度終了日から2か月以内 |
| 防衛特別法人税 | 原則、法人税と同時期 |
| 消費税・地方消費税 | 原則、課税期間終了日の翌日から2か月以内 |
| 源泉所得税 | 原則、支払月の翌月10日まで。納期の特例あり |
※税目ごとに申告期限の延長や中間申告・中間納付の制度があります。申告期限が延長されても納付期限が自動的に同じだけ延びるとは限りません。
例えば、3月決算の法人であれば、通常、法人税等の確定申告・納付期限は5月末頃となります。
また、事業年度の途中でも、前期の税額などに応じて中間申告・納付が必要になる場合があります。納税資金は決算の直前になってから用意するのではなく、月ごとに確保することが重要です。
法人化前に確認したい5つのチェック項目
- 個人事業と法人の税金をそれぞれ試算したか
- 法人住民税の均等割など、赤字でも発生する費用を確認したか
- 消費税の免税条件やインボイス登録を確認したか
- 役員報酬を変えた場合の所得税・社会保険料を試算したか
- 法人税等の納付資金を確保できる事業計画になっているか
特に役員報酬は、法人税だけでなく社長個人の手取りにも影響します。
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法人化は得なのか?
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よくある質問
会社が赤字でも法人税の確定申告は必要ですか?
はい。一般的な株式会社・合同会社では、赤字で法人税額がゼロとなる場合でも、原則として確定申告が必要です。青色申告による欠損金の繰越控除などを利用する場合にも、申告や帳簿保存の要件を確認しましょう。
株式会社と合同会社で法人税率は変わりますか?
株式会社か合同会社かという会社形態だけで、法人税率が変わるわけではありません。資本金や大法人との支配関係、所得金額、適用する特例などによって判断します。
個人事業主時代の赤字を新設法人へ引き継げますか?
通常の法人成りでは、個人事業主と新設法人は別の納税主体です。個人事業の所得税上の純損失を、そのまま新設法人の法人税上の欠損金として引き継ぐことはできません。個人側で繰越控除の対象となる場合は、個人の所得税のルールに従って検討します。
法人が支払う税金はすべて経費になりますか?
いいえ。法人税・地方法人税・法人住民税などは、原則として法人税の計算上損金になりません。一方、法人事業税・特別法人事業税などは、原則として損金算入の対象です。税金の種類によって取扱いが異なります。
まとめ|法人化後の税金は種類と納付時期をセットで確認
法人化すると、法人税だけでなく、地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税など、複数の税金を考える必要があります。
2026年には防衛特別法人税も導入され、税額がゼロでも原則として申告が必要になる点に注意が必要です。
また、赤字でも法人住民税の均等割がかかる場合があり、消費税も法人化すれば必ず免税になるわけではありません。
法人化の有利・不利は、会社と社長個人の税金、社会保険料、維持費、将来の利益見込みを総合して判断することが大切です。
設立前に税負担を見積もり、納税資金を確保できる会社運営を目指しましょう。
参考資料・公的情報
- 国税庁|法人税の税率
- 国税庁|措置法上の中小法人及び中小企業者
- 国税庁|法人税・地方法人税・防衛特別法人税の申告
- e-Tax|防衛特別法人税の創設に関する案内
- 東京都主税局|法人事業税・法人都民税
- 国税庁|新規開業又は法人の新規設立のとき
- 国税庁|消費税の申告と納税
- 国税庁|源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
本記事は2026年10月18日時点の公表資料に基づく一般的な解説です。実際の税率・税額・申告期限は法人の区分、事業年度、所在地、取引内容などによって異なります。個別の判断は所轄税務署、自治体、税理士へご確認ください。

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