「法人化すれば、消費税が2年間免税になる」と聞いたことはありませんか?
新しく設立した法人は、設立1期目・2期目の消費税が原則免税となります。ただし、資本金1,000万円以上で設立する場合や、インボイス登録を受ける場合などは例外です。
この記事では、2026年の制度を踏まえ、法人成りによる消費税の免税条件、インボイス登録の注意点、法人化前に確認したいポイントを現役税務会計スタッフが解説します。
この記事の結論
- 新設法人の1期目・2期目は原則として消費税が免税
- 資本金1,000万円以上など、設立当初から課税される例外がある
- 法人がインボイス登録を受けると、原則として免税にならない
- 個人事業主のインボイス登録番号は法人に引き継げない
- 2027年・2028年の3割特例は法人には適用されない
法人化すると消費税は2年間免税になる?
消費税の納税義務は、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかなどで判定します。
基準期間は、個人事業主なら前々年、法人なら原則として前々事業年度です。
新しく設立した法人には通常、設立1期目・2期目の基準期間がありません。そのため、一定の例外に該当しなければ、消費税の納税義務が免除されます。
| 事業年度 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 設立1期目 | 基準期間がなく、原則免税。ただし資本金などによる例外あり |
| 設立2期目 | 原則免税だが、特定期間の売上などの判定も必要 |
| 設立3期目以降 | 原則として基準期間の課税売上高などで判定 |
つまり、「法人化したら必ず2年間免税」という説明は正確ではありません。
なお、ここでいう「2年間」は暦の上で必ず24か月という意味ではなく、原則として設立1期目と2期目を指します。決算月の設定によって期間の長さは変わります。
新設法人でも消費税が免税にならない5つのケース
① 期首の資本金が1,000万円以上
基準期間のない事業年度の開始日において、資本金または出資金が1,000万円以上の法人は、原則として消費税の課税事業者になります。
例えば、資本金1,000万円で会社を設立した場合は、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。
注意:資本金999万円なら必ず免税、ではない
資本金が1,000万円未満でも、インボイス登録や特定期間の判定などによって課税事業者になる場合があります。資本金だけで判断しないようにしましょう。
新設法人の消費税では、期首資本金1,000万円以上かどうかが重要です。資本金の決め方や100万円・300万円との違い、法人住民税の均等割についても確認しておきましょう。
② 2期目の特定期間の課税売上高などが1,000万円超
法人の設立2期目では、設立1期目の特定期間における課税売上高なども確認します。
特定期間は、原則として前事業年度開始の日から6か月間です。ただし、設立1期目の期間が短い場合などは取扱いが異なります。
この期間の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目の納税義務に影響します。ただし、国内の法人は、課税売上高に代えて給与等支払額で判定することもできます。
例えば、特定期間の課税売上高が1,200万円でも、給与等支払額が300万円なら、給与等支払額で判定することで、この特例による課税を避けられます。他に課税となる理由がないことが前提です。
設立1期目が7か月以下の場合は、原則としてその1期目に特定期間はありません。7か月超8か月未満などは日付による確認が必要です。
③ 法人でインボイス登録を受けた
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けた法人は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、登録期間中は消費税の納税義務が免除されません。
そのため、設立1期目からインボイス登録を行う場合は、消費税の申告・納税を前提に資金計画を立てる必要があります。
④ 課税事業者を選択した
免税事業者となる法人でも、一定の届出によって課税事業者を選択できます。
設備投資などにより消費税の還付を受けられる場合がありますが、課税事業者を選択すると、原則として2年間は免税事業者に戻れません。一定の固定資産を取得した場合は制限が長くなることもあります。
⑤ 特定新規設立法人などの特例に該当した
大規模な事業者に支配される一定の新設法人などは、資本金1,000万円未満でも納税義務が免除されない場合があります。
また、合併・分割には別の判定があります。課税事業者として一般課税で高額な資産を取得した場合などは、その後の免税への復帰が制限されることがあります。「免税中に高額な物を買っただけで、直ちに課税になる」という意味ではありません。
現役税務会計スタッフのワンポイント
法人化の消費税を検討するときは、資本金・決算月・売上見込み・インボイス登録予定の4つをセットで確認しましょう。特に設立2期目は、1期目の売上状況によって免税の判定が変わる可能性があります。
法人成りすると、個人事業主時代の売上は引き継がれる?
個人事業主と、新しく設立した法人は別の事業者です。
そのため、通常の法人成りでは、個人事業主時代の課税売上高を、そのまま新設法人の基準期間の課税売上高として引き継ぐことはありません。
例えば、個人事業主として年間課税売上高が2,000万円あったとしても、その金額だけを理由に、新設法人の1期目から課税事業者になるわけではありません。
ただし、法人側で資本金やインボイス登録などの例外に該当すれば、消費税の納税義務が生じます。
法人成り前後で分けて確認すること
- 個人事業主としての最終年の消費税申告
- 新設法人の消費税の納税義務
- 個人・法人それぞれのインボイス登録
- 事業用資産を法人へ譲渡する場合の消費税
法人化するとインボイス登録はどうなる?
個人事業主の登録番号は法人に引き継げない
個人事業主としてインボイス登録をしていた場合でも、その登録番号を新設法人がそのまま使うことはできません。
法人として適格請求書を発行したい場合は、法人名義で改めて登録申請を行う必要があります。
法人のインボイス登録番号は、原則として「T+法人番号(13桁)」です。
取引先がインボイスを必要としているか確認する
法人化後にインボイス登録をするかどうかは、取引先の状況も踏まえて検討します。
例えば、取引先が課税事業者で、仕入税額控除のためにインボイスを必要としている場合、登録しないことが取引条件に影響する可能性があります。
一方、取引先が一般消費者中心の場合などは、登録の必要性を別の観点から検討できる場合もあります。
インボイス登録を選ぶ際は、消費税の納税額だけでなく、取引先との関係や請求書発行の事務負担も考慮しましょう。
2026年の2割特例・2027年以降の3割特例に注意
インボイス制度には、一定の小規模事業者の消費税負担を軽減する経過措置があります。
ただし、2026年の税制改正によって、個人事業主と法人で適用できる制度に違いが生じています。
| 制度 | 対象となる期間 | 法人への適用 |
|---|---|---|
| 2割特例 | 2023年10月1日〜2026年9月30日までの日を含む課税期間 | 要件を満たせば可能 |
| 3割特例 | 2027年分・2028年分 | 適用不可 |
2割特例は、免税事業者がインボイス登録によって課税事業者になった場合などに、納付税額を売上に係る消費税額の2割とできる制度です。
適用期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までのいずれかの日を含む課税期間で判定します。終了時期の例として、通常の3月決算法人は、要件を満たせば2026年4月1日〜2027年3月31日の課税期間にも適用できます。2026年10月1日以後に設立された法人は、設立1期目に対象期間の日が含まれないため適用できません。
一方、2027年分・2028年分の3割特例は、一定の個人事業者が対象で、法人には適用されません。資本金1,000万円以上など、インボイス登録と関係なく課税となる場合は、2割特例も原則として利用できません。
2026年以降に法人化する方は要確認
個人事業主として3割特例の対象になる見込みでも、法人化後は同じ特例を利用できません。法人化の税金比較では、所得税・法人税だけでなく、消費税の計算方法も確認しましょう。
制度の詳細は、 国税庁「令和8年度税制改正特集」 で確認できます。
2割特例が終わった法人は、一般課税と簡易課税を比較する
課税が続く法人は、実際の仕入れなどに係る消費税を差し引く一般課税と、事業区分ごとのみなし仕入率で計算する簡易課税を比較しましょう。簡易課税には、基準期間の課税売上高5,000万円以下などの要件と届出が必要です。
2026年度改正では、2割特例を適用した翌課税期間から簡易課税へ移る場合、その翌課税期間の申告期限までの届出で適用できる措置が設けられています。ただし、その翌課税期間が2026年9月30日以前に終了する場合は、その課税期間の末日までです。新設法人すべてにこの期限が適用されるわけではありません。
法人化前に、消費税を含めた税負担を比較する
法人化によって所得税の負担が軽くなっても、消費税の納税義務や社会保険料の負担によって、全体の資金負担が増える場合があります。
法人化を専門とする税理士に相談し、消費税や会社の維持費も含めて比較する方法があります。
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法人化したら、
税金はいくら変わる?
法人化のタイミングや税金、維持費を
専門の税理士に無料で相談できます。
無料相談で確認できる3つのこと
税金を比較
個人事業と法人の
税負担をシミュレーション
維持費を確認
法人設立後の費用や
注意点も相談できる
24時間WEB受付
いつでもWEB申込
Zoom面談は全国対応
税理士法人経営サポートプラスアルファ
※24時間対応はWEB受付です。面談は予約制です。
※無料相談の対象・条件は公式ページをご確認ください。
設立前に確認したい5つのチェック項目
- 各期首の資本金と、設立日・決算日を決めたか
- 1期目の売上と給与等支払額を、月ごとに見積もったか
- 取引先にインボイスの必要性を確認したか
- 個人の最終申告・資産の譲渡と、法人側の登録・申告を分けて整理したか
- 免税終了後の消費税、社会保険料、会社の維持費まで比較したか
現役税務会計スタッフのワンポイント
比較表は個人を続けた場合・法人化した場合を、それぞれ設立後3期程度まで作ると判断しやすくなります。初年度の免税額だけでなく、課税が始まる時期と納税資金まで並べてみましょう。個人事業から会社へ在庫や設備を売却する場合は、個人側の消費税の確認も必要です。
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設立前に、
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無料相談で確認できる3つのこと
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※24時間対応はWEB受付です。面談は予約制です。
※無料相談の対象・条件は公式ページをご確認ください。
よくある質問
合同会社でも消費税の免税条件は同じですか?
株式会社か合同会社かという会社形態だけで、免税の可否は変わりません。資本金・出資金、特定期間、インボイス登録などを確認します。設立費用が低い合同会社でも、自動的に免税になるわけではありません。
1期目が短い場合、3期目の判定も売上1,000万円が基準ですか?
法人の基準期間が1年でない場合、課税売上高は原則として年換算して判定します。例えば基準期間が6か月で課税売上高600万円なら、年換算では1,200万円です。実際の基準期間や月数の数え方を確認し、「1期目の売上が1,000万円以下だから3期目も免税」と判断しないようにしましょう。
免税事業者なら、設備購入時の消費税は還付されますか?
免税事業者のままでは、設備購入に係る消費税の還付は受けられません。課税事業者を選択し、一般課税で計算することで還付となる場合があります。ただし、設備の種類や使い方、選択後の継続期間などの条件があるため、購入前に検討しましょう。
まとめ|「2年間免税」だけで法人化を決めない
新設法人は基準期間がないため原則免税ですが、資本金・特定期間・インボイス登録などによって課税となります。免税になっても、必ず24か月続くわけではありません。
また、個人事業者向けの3割特例は法人では使えません。法人化の判断は、消費税・所得税や法人税・社会保険料・維持費を合わせて比較することが大切です。設立前に相談すれば、資本金や決算月を決める段階から検討できます。
参考資料
- 国税庁e-Tax|基準期間が1年でない法人の課税売上高
- 国税庁|新規開業又は法人の新規設立のとき
- 国税庁|特定期間の課税売上高による免税事業者の判定
- 国税庁|特定期間の判定
- 国税庁|2割特例特設ページ
- 国税庁|令和8年度税制改正特集
本記事は2026年10月16日に確認した公表資料に基づく一般的な解説です。具体的な納税義務・届出期限は、設立日や取引内容に応じて税務署または税理士へご確認ください。

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