「会社の登記は終わったけれど、次に何をすればいいの?」「税務署と年金事務所には、いつまでに届け出るの?」と迷っていませんか。
法人設立後は、税金・社会保険・給与に関する手続きを進めます。ただし、すべての期限が「設立から○日以内」で統一されているわけではありません。
この記事では、小規模な株式会社・合同会社を想定し、設立後の主な届出をチェックリストにまとめました。一人社長、従業員を雇う会社、個人事業から法人成りする人に分けて確認できます。
最初に押さえたい4つのポイント
- 登記が終わっても、税務署・自治体・年金事務所への手続きは別に必要
- 社会保険の届出は、加入要件を満たした事実の発生から原則5日以内
- 法人の青色申告は、第1期の決算日が近いと提出期限も早まる
- 法人成りでは、法人側の届出と個人事業側の整理を両方確認する
法人設立後にやることチェックリスト【届出と期限一覧】
まずは次の表で、自社に必要な手続きを確認してください。給与の支払い、従業員の有無、インボイス登録の必要性によって、提出する書類が変わります。
| 確認 | 主な届出・手続き | 提出先 | 対象・期限 |
|---|---|---|---|
| □ | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所等 | 加入対象の事業所:事実発生から5日以内 |
| □ | 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 年金事務所等 | 加入対象者がいる場合:事実発生から5日以内 |
| □ | 法人設立・設置の届出 | 都道府県・市区町村 | 自治体ごとに異なる。東京都は事業開始・設置の日から15日以内 |
| □ | 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与等の支払事務を扱う事務所を開設した日から1か月以内 |
| □ | 法人設立届出書 | 税務署 | 設立の日以後2か月以内 |
| □ | 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 第1期から希望する場合:設立後3か月経過日と第1期末の、いずれか早い日の前日まで |
| □ | 源泉所得税の納期の特例の申請 | 税務署 | 給与の支給人員が常時10人未満で希望する場合:随時 |
| □ | インボイス登録・消費税関係の届出 | 税務署 | 登録希望日、資本金、選択する制度などにより判断 |
※表は主な手続きの一覧です。各期限の起算日、休日の扱い、添付書類は提出先の案内で確認してください。従業員を雇う場合の労働保険・雇用保険は後半で説明します。
税務署に提出する書類|特に青色申告の期限に注意
法人設立届出書は設立後2か月以内
株式会社・合同会社を設立したら、納税地を管轄する税務署へ法人設立届出書を提出します。設立日とは、設立登記の日です。
国税庁の案内では、定款などの写しを添付して、e-Taxまたは書面で提出します。登記を依頼しただけで、税務署への届出まで済んでいるとは限りません。
専門家に設立を依頼した場合も、契約に含まれる手続きと、提出済みの書類を確認しましょう。
青色申告は「設立後3か月以内」だけで覚えない
第1期から青色申告を利用したい場合、承認申請書の期限は、次のうち早い日の前日です。
- 設立の日以後3か月を経過した日
- 最初の事業年度の終了日
例えば、2026年10月20日に設立し、第1期の決算日を同年11月30日にした場合、第1期末を基準にするため、3か月待つことはできません。休日調整前の期限は11月29日で、この日は日曜日のため、通常は翌11月30日が提出期限になります。
青色申告は、欠損金の繰越控除などに関わる重要な手続きです。赤字見込みの会社も後回しにせず、設立日と決算日が決まった時点で期限を確認してください。
現役税務会計スタッフのワンポイント
届出は「書類名・期限・担当者・提出日」の4項目で管理すると、漏れを防ぎやすくなります。特に青色申告は、法人設立届出書とは別の申請です。「設立届を出したから青色申告も大丈夫」と思い込まず、受信通知や提出書類を確認しましょう。
一人社長でも、役員報酬を払うなら給与関係の届出を確認
給与支払事務所等の開設届出書は、従業員のいる会社だけの手続きではありません。社長一人に役員報酬を支払う会社も対象になります。
期限は、給与の支払事務を扱う事務所を開設してから1か月以内です。実際の初回振込日だけで判断せず、開設日と給与支払開始日を整理して記載します。
また、給与の支給人員が常時10人未満なら、源泉所得税の納期の特例を申請できます。対象となる税金を、原則として7月10日と翌年1月20日の年2回にまとめて納付する制度です。
ただし、申請した月の給与から、すぐ半年分まとめてよいわけではありません。原則として申請月の翌月に源泉徴収する税額から適用対象になるため、初回の納付漏れに注意してください。
消費税・インボイスの届出は、必要性を判断してから
設立した会社がすべてインボイス登録をする必要はありません。取引先の要請、資本金、売上見込み、設備投資などを踏まえて判断します。
設立時からインボイス発行事業者になるための特例では、原則として最初の課税期間の末日までに、必要事項を記載した登録申請書を提出します。通常の1年以内の事業年度であれば、第1期の末日が目安です。
この特例の期限は、末日が土日・祝日等でも翌営業日に延びません。また、登録通知には時間がかかるため、請求書を発行する予定がある場合は早めに確認しましょう。
資本金1,000万円以上の新設法人に関する届出や、簡易課税の選択なども別途確認が必要です。雛形に入っている書類を、内容を確かめず一括提出するのは避けてください。
自治体への法人設立届は、税務署とは別に提出する
地方税に関する法人設立・設置の届出は、都道府県と市区町村の案内を確認します。税務署に提出する法人設立届出書とは別の手続きです。
期限は全国共通ではありません。例えば東京都は、事業開始・設置の日から15日以内です。「税務署と同じ2か月以内だろう」と考えないようにしましょう。
東京都23区内では、法人住民税の市町村民税相当分も都が扱います。一方、東京都内の市町村に事務所がある場合は、都と市町村の両方を確認します。所在地の公式サイトで、提出先・期限・添付書類を調べてください。
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年金事務所への届出|一人社長も加入要件を確認
会社の加入と、社長・従業員の加入は別の書類
法人で、役員報酬を受けて常勤する社長など加入対象者がいる場合は、原則として健康保険・厚生年金保険の手続きが必要です。
新しく適用事業所になる会社は「新規適用届」、加入する人については「被保険者資格取得届」を提出します。どちらも原則として、事実発生から5日以内です。
家族を健康保険の扶養に入れる場合は、被扶養者に関する届出も確認します。「会社の加入だけ済ませた」「社長の資格取得が未提出」という状態にしないことが大切です。
役員報酬がゼロの場合や、勤務実態が通常と異なる場合は、加入の扱いを個別に確認してください。一律に「法人なら全員加入」「無報酬なら何もしなくてよい」と判断しないようにしましょう。
添付書類は、税務署と同じとは限らない
日本年金機構の新規適用手続きでは、法人の登記事項証明書などが必要です。原本・写しの別や発行日の条件もあるため、提出方法に応じた最新の案内を確認します。
登記上の所在地と実際の事業所が異なる場合は、実際に事業を行う所在地を管轄する年金事務所への提出となり、賃貸借契約書などを求められる場合があります。
登記完了後の証明書の取得待ちで期限に間に合わないおそれがある場合は、先に管轄の年金事務所へ相談してください。
従業員を雇う場合は、労働保険・雇用保険も確認
従業員を雇う会社では、社会保険とは別に、労災保険・雇用保険の手続きが必要になります。一般的な一元適用事業の主な期限は次のとおりです。
| 手続き | 主な提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 労働保険 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 保険関係成立の日の翌日から起算して10日以内 |
| 概算保険料の申告・納付 | 労働基準監督署・労働局等 | 保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内 |
| 雇用保険 適用事業所設置届 | ハローワーク | 設置の日の翌日から起算して10日以内 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | ハローワーク | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで |
労災保険は原則として労働者を1人でも雇えば対象です。雇用保険は、労働時間などの加入要件を満たす人について手続きを行います。
一方、代表取締役だけの会社では、代表者は通常、労働者としての労災保険・雇用保険の対象にはなりません。労災保険の特別加入は別制度です。建設業などでは手続きの区分も異なるため、労働局や社会保険労務士に確認しましょう。
法人成りなら、個人事業側の届出も忘れずに
個人事業をすべて法人へ移して廃業する場合、法人の設立届だけでは個人側の手続きは終わりません。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 必要に応じて、所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 消費税の課税事業者の場合、事業廃止届出書
- 個人側の給与支払事務所を廃止する場合、その届出
2026年1月1日以後の廃業について、個人事業の開業・廃業等届出書の期限は、廃業した年分の所得税の確定申告期限です。古い解説の「廃業から1か月以内」と混同しないようにしましょう。
ただし、消費税の事業廃止届出書は速やかに提出するなど、ほかの書類まで同じ期限になるわけではありません。また、別の個人事業を続ける場合は、廃業や青色申告取りやめの要否を確認してください。
年の途中で法人化しても、個人で営んだ期間について必要な確定申告は残ります。在庫・車・備品などを法人へ移す場合の売買や税務処理も、届出とは別に整理しましょう。
届出と並行して、会社のお金と契約を整える
役所への提出と同時に、次の準備を進めると、その後の経理がスムーズになります。
- □ 法人口座・法人用カードの準備
- □ 法人用の会計データと証憑保存場所の作成
- □ 役員報酬の金額・支給日・決議内容の整理
- □ 給与計算と源泉所得税・社会保険料の納付方法の設定
- □ 取引先への請求名義・振込先変更の案内
- □ 賃貸借契約、許認可、保険などの名義・承継手続きの確認
役員報酬は、毎月の支払い方によって法人税上の経費になるかが変わります。売上に合わせて自由に増減させる前提にせず、定期同額給与などの要件を確認して決めてください。
現役税務会計スタッフのワンポイント
法人成りの前後は、個人時代の売掛金が入金されたり、個人名義のカードで法人の支払いをしたりと、お金が混ざりやすい時期です。「入金日・支払日」だけで区分せず、誰の取引なのかが分かる契約書や請求書を残しておきましょう。切替日の一覧を作ると、二重計上や計上漏れを防ぎやすくなります。
届出を任せる場合は、担当範囲と提出完了を確認する
税務署・自治体への税務手続きは税理士、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士が主な相談先です。設立支援サービスでも、すべてが基本料金に含まれているとは限りません。
依頼時には、「誰が・何を・いつまでに提出するか」と、提出後に何を受け取れるかを確認してください。すでに設立済みで期限が迫っている場合は、担当の専門家や提出先へ早めに連絡しましょう。
期限を過ぎてしまったときは
放置せず、未提出の書類と本来の期限を整理して相談してください。提出すれば手続きを進められる届出と、期限後では希望した期から制度を利用できない申請があります。青色申告などを「後で出せば間に合う」と自己判断しないことが大切です。
関連記事
法人化の設立費用と年間維持費を確認するPR
設立日を決める前に、
費用と進め方を相談しておきましょう。
法人化が自分に合うか、設立後にどのくらい費用がかかるかを確認できます。
① 法人化を判断
個人を続ける場合と
税負担を比較
② 準備を整理
設立時の注意点や
維持費を相談
③ WEBから予約
24時間申込み可能
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相談先:税理士法人経営サポートプラスアルファ
WEB予約は24時間受付。面談は予約制です。設立後の届出代行の範囲・費用は、依頼前に別途確認してください。
法人設立後の手続きでよくある質問
Q.法人口座がまだできていなくても、税務署への届出は出せますか?
法人設立届出書や青色申告の承認申請書は、法人口座の開設を待つ必要はありません。口座開設の審査中でも、期限のある手続きは進めてください。
口座ができるまで代表者が会社の費用を立て替える場合は、領収書と支払記録を保存し、法人の帳簿で立替分を整理します。
Q.会社の健康保険に入れば、国民健康保険は自動的に脱退できますか?
国民健康保険の脱退手続きは別に必要です。原則として14日以内に、住所地の市区町村へ届け出ます。
新しい健康保険の資格取得日を確認できる書類など、必要書類は自治体の案内を確認してください。マイナ保険証を利用していても、脱退の届出が不要になるわけではありません。
Q.税務署に提出した控えに、受付印を押してもらえませんでした。問題ありませんか?
国税庁は2025年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押印を取りやめています。受付印がないことだけで、未提出と判断する必要はありません。
e-Taxの場合は提出データと受信通知を保存しましょう。書面の場合も、自分で控えを作成し、提出日や提出方法を記録しておくことが大切です。金融機関などへ提示する場合は、必要な確認資料を事前に問い合わせてください。
まとめ|提出期限と担当者を決めて、設立後の漏れを防ごう
法人設立後は、税務署・自治体・年金事務所への届出を進め、従業員を雇う場合は労働保険・雇用保険も確認します。
まずは設立日・第1期の決算日・給与関係の開始日・社会保険の資格取得日を整理し、チェックリストに期限と担当者を書き込みましょう。
提出後は控えや受信通知まで保存して、完了を確認してください。設立前の方は、届出の分担と設立後の費用まで決めておくと、事業に集中しやすくなります。
参考資料・公的情報
- 国税庁:新設法人の届出書類
- 国税庁:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき
- 国税庁:源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
- 東京都主税局:法人事業税・法人都民税
- 日本年金機構:新規適用の手続き
- 日本年金機構:健康保険・厚生年金保険の資格取得の手続き
- 厚生労働省:労働保険の成立手続
- 国税庁:廃業する場合
- 国税庁:役員に対する給与
- 国税庁:申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて
- 横浜市:国民健康保険の加入・脱退について
制度・期限は2026年10月時点の公表資料をもとに整理しています。所在地や事業内容、加入状況などによって必要な手続きが異なるため、提出先の最新案内もご確認ください。

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