自宅や事務所で仕事をするために、 デスク・オフィスチェア・棚などを購入する個人事業主は多いでしょう。
そこで迷いやすいのが、
「仕事用の机は経費になる?」
「10万円を超えたら減価償却?」
「30万円を超えた椅子は一括で経費にできない?」
「自宅で私用にも使っている場合は?」
という点です。
結論からいうと、 仕事のために使用する机・椅子であれば、 事業用部分は必要経費にできます。
ただし、 購入金額によっては 購入した年に全額を経費にするのではなく、 固定資産として減価償却が必要です。
さらに2026年4月からは、 一定の青色申告者が利用できる 少額減価償却資産の特例について、 取得価額の基準が 40万円未満 へ引き上げられています。
この記事では、 個人事業主向けに 机・デスク・椅子・オフィスチェアの経費、勘定科目、減価償却、耐用年数、家事按分 まで分かりやすく解説します。
まず結論
・仕事専用の机・椅子 → 事業用資産として経費にできる
・取得価額10万円未満 → 原則として使用開始した年に全額必要経費
・10万円以上20万円未満 → 3年間の一括償却を選べる場合がある
・一定の青色申告者が2026年4月1日以後に取得 → 40万円未満なら少額減価償却資産の特例を使える場合がある
・上記を使わない高額な机・椅子 → 原則として固定資産として減価償却
・自宅で仕事と私用の両方に使用 → 事業利用部分を合理的に区分する
仕事用の机・椅子は個人事業主の経費になる?
事業を行うために必要な机・椅子であれば、 必要経費の対象になります。
たとえば、
- 自宅事務所の仕事用デスク
- 仕事専用のオフィスチェア
- 事務所の事務机
- 従業員用の机・椅子
- 打ち合わせスペースのテーブル・椅子
- 仕事道具を収納するキャビネット
などです。
これらを事業のために使用しているのであれば、 事業との関連性を説明しやすいでしょう。
一方、 家族が使うダイニングテーブルや、 仕事とは関係のない家具などは、 原則として事業の必要経費にはできません。
現役税務会計スタッフのワンポイント
「自宅に置いてある=経費にならない」 というわけではありません。 自宅でも実際に事業のために使用していることを説明できるか が重要です。
机・椅子の勘定科目は何?
机・椅子の勘定科目は、 購入金額や税務上の処理方法によって変わります。
| ケース | 主な処理 |
|---|---|
| 少額でその年に全額経費処理 | 消耗品費など |
| 固定資産として計上 | 工具器具備品など |
| 減価償却時 | 減価償却費 |
ただし、 「消耗品費」という科目を使えば 高額な机でも一括経費にできる、 というわけではありません。
勘定科目と、税務上いつ必要経費にできるかは別問題 です。
10万円未満の机・椅子なら原則その年の経費
取得価額が10万円未満の減価償却資産は、 原則として 業務の用に使用し始めた年に 取得価額を必要経費にできます。
たとえば、 仕事専用のデスクを 88,000円で購入した場合です。
現金で88,000円のデスクを購入した場合
| 消耗品費 | 88,000円 | 普通預金 | 88,000円 |
などとして処理できます。
机7万円+椅子7万円なら14万円として判定?
ここはよく迷うポイントです。
少額資産の金額判定は、 請求書の合計金額だけを見るのではなく、 通常1単位として取引される単位 で判断します。
たとえば、 仕事用デスクとオフィスチェアを それぞれ別商品として購入し、 それぞれ独立して使用できる場合には、 実際の取引単位を確認して判断します。
一方、 応接セットのように テーブルと椅子を通常一組として取引・使用するものについては、 セット全体で取得価額を判定する 考え方があります。
請求書を分ければ少額資産になるわけではない
金額基準を判定するためだけに、 本来一組として使用する資産を 請求書の明細ごとに機械的に分けて判断するのは避けましょう。 通常の取引単位・使用実態で判断します。
10万円以上20万円未満なら一括償却資産も選択肢
取得価額が 10万円以上20万円未満 の机・椅子については、 通常の減価償却のほか、 一定の要件のもとで 3年間で均等に必要経費にする「一括償却資産」 を選択できます。
たとえば、 180,000円の仕事用デスクを 一括償却資産として処理する場合、 基本的には
180,000円 ÷ 3年 = 各年60,000円
という形で必要経費にしていきます。
通常の減価償却と異なり、 取得した月によって月割りする方式ではなく、 一括償却資産としてまとめて3年間で処理します。
【2026年改正】一定の青色申告者は40万円未満まで特例対象
2026年に特に注意したいのが、 少額減価償却資産の特例 です。
一定の要件を満たす青色申告者については、 対象となる少額減価償却資産を 事業の用に使用した年に 取得価額を必要経費へ算入できる特例があります。
2026年度税制改正により、 2026年4月1日以後に取得する資産については、 従来の30万円未満から 40万円未満 へ基準額が引き上げられました。
| 取得時期 | 対象となる取得価額 |
|---|---|
| 2026年3月31日まで | 30万円未満 |
| 2026年4月1日以後 | 40万円未満 |
そのため、 たとえば2026年10月に 350,000円の仕事用オフィスチェアを購入した場合でも、 一定の要件を満たす青色申告者であれば、 少額減価償却資産の特例を利用できる可能性 があります。
なお、 この特例には対象者・対象資産などの要件があり、 取得価額の合計についても 原則年間300万円まで という上限があります。
40万円未満なら誰でも一括経費ではない
40万円未満の特例は、 一定の要件を満たす青色申告者向け です。 白色申告者や要件を満たさない場合まで 「40万円未満なら全部その年の経費」 と考えないようにしましょう。
高額な机・椅子は固定資産として減価償却
少額資産として一括処理できる制度を利用しない場合には、 高額な机・椅子は 工具器具備品などの固定資産 として計上します。
そして、 法定耐用年数にわたって 減価償却費を必要経費にしていきます。
たとえば、 500,000円の仕事専用デスクを購入した場合、 購入時に500,000円全額を 「消耗品費」として必要経費にするのではなく、 固定資産として管理するのが基本です。
事務机・事務椅子の耐用年数は何年?
机・椅子を通常の方法で減価償却する場合には、 法定耐用年数を確認します。
国税庁の耐用年数表では、 事務机・事務いす・キャビネットについて、 主な材質によって耐用年数が分かれています。
| 事務机・事務いす・キャビネット | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 主として金属製 | 15年 |
| その他 | 8年 |
たとえば、 木製を主体とした事務机などは 「その他」に該当するかを確認します。
一方、 金属を主体として作られている机・椅子なら 15年となる場合があります。
現役税務会計スタッフのワンポイント
「オフィスチェアなら全部8年」など、 商品名だけで耐用年数を決めないようにしましょう。 耐用年数表の資産区分と主な材質 を確認します。
ゲーミングチェアも仕事用なら経費になる?
在宅ワーカー・動画編集者・エンジニアなどでは、 一般的なオフィスチェアではなく、 ゲーミングチェアを仕事用として購入することもあります。
「ゲーミング」という名称だから 経費にならないわけではありません。
実際に、
- 長時間のPC作業
- 動画編集
- プログラミング
- 配信業務
- 事務作業
などのために使用しているのであれば、 事業用の椅子として必要経費の対象になります。
ただし、 自宅のゲーム・趣味にも使用している場合には、 私用部分についても確認します。
自宅の机・椅子を仕事と私用で共用する場合
自宅で仕事をしている個人事業主の場合、 同じデスク・椅子を プライベートでも使うケースがあります。
このような家事関連費については、 事業上必要な部分を合理的に区分できる場合に、 その部分を必要経費 として考えます。
たとえば、 仕事用の部屋に設置し、 ほぼ仕事でしか使用していない机なら、 事業利用割合を高く説明しやすいでしょう。
一方、 家族共用のリビングにある机を、
- 昼は仕事
- 夜は家族が使用
- 休日は私用
としているのであれば、 100%事業用とする説明は難しくなります。
事業利用80%・私用20%の場合
合理的な使用実態から 事業利用割合を80%と判断でき、 その年に必要経費となる金額が100,000円なら、
100,000円 × 80% = 80,000円
を事業分として考えます。
減価償却する資産であれば、 毎年計算した減価償却費について 事業利用部分を区分します。
「在宅ワークだから80%」では根拠にならない
家事按分には、 使用時間・設置場所・使用状況など、 実態に合った説明 が必要です。 税法上「机なら70%」といった一律の割合はありません。
自宅に仕事専用スペースがある場合
自宅の一室を仕事専用にしており、 そこに仕事専用のデスク・椅子を設置している場合には、 事業専用であることを比較的説明しやすくなります。
たとえば、
「この部屋は事務所として使用し、 このデスク・椅子は仕事以外では使わない」
という状況です。
購入時の領収書だけでなく、 使用目的・設置場所などが分かるようにしておくと、 後から確認しやすくなります。
ダイニングテーブルを仕事にも使っている場合は?
家族が普段使っている ダイニングテーブルを、 日中だけ仕事にも使用しているケースもあります。
この場合、 テーブル本来の生活用家具としての性質も強いため、 単純に購入価格の全額を 事業経費とするのは慎重に考える必要があります。
事業のために直接必要な部分を 明確に区分できるか確認しましょう。
新たに 仕事専用デスクを設ける方が、 事業との関連性も明確になり、帳簿上も管理しやすい ケースがあります。
机・椅子をクレジットカードで購入した場合
事業用クレジットカードで購入した場合も、 10万円・20万円・40万円などの資産判定は変わりません。
支払方法と、 経費・固定資産の判定は別です。
88,000円の仕事用デスクをカードで購入
| 消耗品費 | 88,000円 | 未払金 | 88,000円 |
500,000円の仕事用デスクをカードで購入
| 工具器具備品 | 500,000円 | 未払金 | 500,000円 |
後日、 カード代金が銀行口座から引き落とされたときに 未払金を減らします。
机・椅子の送料・組立費も取得価額に入る?
高額なデスク・家具を購入すると、 本体価格とは別に
- 送料
- 搬入費
- 組立費
- 設置費
などがかかる場合があります。
減価償却資産の取得価額は、 単純な商品価格だけでなく、 購入のために要した費用や、 事業で使用するために直接要した費用 を含めて考えるのが原則です。
たとえば、
- デスク本体:395,000円
- 配送・組立費:15,000円
なら、 本体価格だけを見て 「40万円未満だから特例対象」 と即断するのは危険です。
取得価額として 合計410,000円になるかを確認したうえで、 適用できる処理を判断します。
現役税務会計スタッフのワンポイント
10万円・20万円・40万円ギリギリの家具を購入した場合は、 商品価格だけでなく送料・設置費なども確認 してください。 数千円の付随費用で処理方法が変わることがあります。
税込・税抜のどちらで10万円・40万円を判定する?
減価償却資産の取得価額の金額基準については、 事業者が採用している 消費税の経理方式 によって判定額が変わります。
税込経理をしている場合は税込金額、 税抜経理をしている場合は原則として税抜金額を基に 取得価額の金額基準を判定します。
特に 10万円・20万円・40万円の境目に近い家具を購入する場合は、 自分の消費税の経理方式も確認しておきましょう。
中古の机・椅子を買った場合も同じ?
中古品でも、 事業のために購入した机・椅子であれば 必要経費・減価償却の対象になります。
取得価額が少額資産の基準に該当する場合には、 新品・中古という理由だけで 対象外になるわけではありません。
一方、 通常の減価償却を行う中古資産では、 使用状況などに応じて 中古資産の耐用年数の計算が関係する場合があります。
中古家具を高額で購入した場合は、 新品と同じ年数で機械的に処理せず、 中古資産の取扱いも確認しましょう。
昔から自宅にある机を仕事用にした場合は?
開業前から私生活で使っていた机・椅子を、 開業後に事業用へ転用する場合もあります。
この場合、 新しく購入した事業用資産とは 減価償却の計算方法が異なることがあります。
非業務用として使用していた期間の 価値の減少を考慮したうえで、 事業へ転用した時点の未償却残高を計算して その後の減価償却を行うケースがあります。
「昔10万円で買った机だから今10万円を経費」 とはならない点に注意しましょう。
机・椅子の領収書は保存しよう
仕事用家具を必要経費・固定資産として処理する場合は、
- 購入日
- 商品名
- 購入金額
- 送料・組立費
- 購入先
- 事業での使用目的
が確認できるようにしておきましょう。
高額な資産の場合は、 固定資産台帳へも登録し、 取得価額・耐用年数・減価償却費・未償却残高を管理します。
高額な家具は会計ソフトで固定資産管理すると便利
机・椅子などの固定資産が増えると、
- 取得日
- 取得価額
- 耐用年数
- 減価償却費
- 未償却残高
- 事業利用割合
を管理する必要があります。
さらに、 10万円・20万円・40万円の金額基準によって 処理方法が変わるため、 Excelや手計算だけでは管理が複雑になることがあります。
対応するクラウド会計ソフトを利用すれば、 固定資産を登録し、 減価償却費の計算や決算書への反映を管理しやすくなります。
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机・椅子の経費チェックリスト
□ 事業で使用する机・椅子か確認した
□ 取得価額が10万円未満か確認した
□ 10万円以上20万円未満なら一括償却資産も検討した
□ 青色申告者は40万円未満の特例を確認した
□ セット商品なら通常の取引単位を確認した
□ 高額なら工具器具備品として減価償却を確認した
□ 机・椅子の材質から耐用年数を確認した
□ 自宅で私用があれば事業部分を確認した
□ 送料・組立費なども取得価額に含めて確認した
□ 領収書・固定資産台帳を保存した
よくある質問
Q. 仕事用の机は経費になりますか?
はい。
事業のために使用している机であれば、 必要経費・事業用資産として処理できます。
ただし、 購入金額によっては 固定資産として減価償却が必要です。
Q. 8万円のオフィスチェアは経費になりますか?
仕事専用で使用し、 取得価額が10万円未満であれば、 原則として使用開始した年に 全額を必要経費にできます。
Q. 15万円のデスクは一括で経費になりますか?
取得価額10万円以上20万円未満であれば、 通常の減価償却のほか、 3年間の一括償却資産を選択できる場合があります。
また、 一定の青色申告者であれば 少額減価償却資産の特例も検討できます。
Q. 35万円の椅子は経費にできますか?
2026年4月1日以後に取得した資産については、 一定の要件を満たす青色申告者であれば、 40万円未満の少額減価償却資産の特例 を利用できる可能性があります。
Q. 机の耐用年数は何年ですか?
国税庁の耐用年数表では、 事務机・事務いす・キャビネットについて、 主として金属製なら 15年、 その他は 8年 とされています。
Q. デスクと椅子を同時に買ったら合計額で判定しますか?
必ず単純合計するわけではありません。
少額資産の判定では、 通常1単位として取引される単位で判断します。
独立して購入・使用できるデスクと椅子なのか、 一組として販売・使用するセットなのかなど、 実際の取引内容を確認しましょう。
Q. 自宅の仕事用デスクは100%経費ですか?
仕事専用で使用しているなら、 100%事業用として説明しやすくなります。
私生活でも使用している場合には、 使用実態に応じて事業部分を合理的に区分します。
Q. ゲーミングチェアも経費になりますか?
名称だけでは決まりません。
仕事でPC作業・動画編集・配信などに使用しているのであれば、 事業用の椅子として必要経費になり得ます。
Q. 配送料や組立費は別に経費にできますか?
減価償却資産の購入に直接必要な配送料・組立費などは、 原則として資産の取得価額に含めて判断します。
10万円・20万円・40万円の境目に近い場合は特に注意しましょう。
まとめ|机・椅子は金額と使用実態を確認する
仕事のために使用する机・椅子であれば、 必要経費の対象になります。
ただし、 購入金額によって 一括経費・一括償却資産・少額減価償却資産の特例・通常の減価償却など、 処理方法が変わります。
また、 自宅でプライベートにも使用する場合には、 事業部分を合理的に区分することも重要です。
この記事のまとめ
・仕事用の机・椅子は必要経費の対象になる
・10万円未満なら原則その年に全額必要経費
・10万円以上20万円未満なら一括償却資産も選択肢
・2026年4月以後は一定の青色申告者なら40万円未満の特例を検討できる
・少額資産の判定は通常1単位として取引される単位で行う
・事務机・事務いすは金属製15年、その他8年が基本
・私用と共用する場合は事業部分を区分する
・送料・組立費なども取得価額に注意する
現役税務会計スタッフのワンポイント
机・椅子の経費処理では、 「仕事用か」「取得価額はいくらか」「通常どの単位で取引されるか」 の3点を最初に確認すると判断しやすくなります。 高額な家具では、本体価格だけでなく送料・設置費まで確認しましょう。
机・椅子の経費処理で迷っているケースはありますか?
「デスクと椅子をセットで買った」 「自宅で私用にも使っている」 「40万円未満だけど青色申告なら一括経費?」など、 記事を読んでも分かりにくかった点があればコメントで教えてください。 今後の記事・FAQ作成の参考にさせていただきます。
参考:公的情報
減価償却・耐用年数・家事関連費・2026年度税制改正については、 国税庁・財務省の最新情報も確認してください。

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