個人事業主として青色申告をしたい場合、 「所得税の青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
ただ、 「開業届と一緒に出さないといけない?」 「開業から2か月以内っていつまで?」 「出し忘れたら今年は青色申告できない?」 など、初めて開業する方には分かりにくいポイントも少なくありません。
特に注意したいのが、 開業届と青色申告承認申請書では提出期限が違うという点です。
2026年1月1日以後に開業した場合、 開業届は原則としてその年分の所得税の確定申告期限までに提出するルールへ変更されています。
一方、青色申告承認申請書は、 原則3月15日まで、1月16日以後に新しく開業した場合は 開業日から2か月以内という期限があるため注意しましょう。
まず結論
青色申告をしたい場合は、青色申告承認申請書を期限内に提出することが重要です。
・原則:青色申告をしたい年の3月15日まで
・その年の1月16日以後に新規開業:開業日から2か月以内
開業届と青色申告承認申請書を同時に提出する義務はありませんが、 青色申告をする予定なら開業時にまとめて準備しておくと提出忘れを防ぎやすいでしょう。
青色申告承認申請書とは?
青色申告承認申請書は、 個人事業主などが所得税の確定申告を 青色申告で行うために提出する申請書です。
青色申告を利用できるのは、 主に次の所得がある方です。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
一般的な個人事業主・フリーランスであれば、 事業所得について青色申告を利用するケースが多いでしょう。
青色申告には、
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 純損失の繰越し・繰戻し
などの特典があります。
申請書を出すだけで最高額の控除を受けられるわけではない
青色申告承認申請書を提出しただけで、 自動的に65万円や75万円の青色申告特別控除を受けられるわけではありません。 実際の記帳方法・決算書の作成・期限内申告・電子申告や電子帳簿保存等、 適用する控除額に応じた要件を満たす必要があります。
青色申告承認申請書の提出期限はいつまで?
青色申告承認申請書の期限は、 開業した時期によって変わります。
| ケース | 提出期限 |
|---|---|
| すでに事業をしていて、その年から青色申告を始める | 原則3月15日まで |
| 1月1日〜1月15日に新規開業 | 原則3月15日まで |
| 1月16日以後に新規開業 | 開業日から2か月以内 |
提出期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たる場合は、 原則としてその翌日が期限となります。
現役税務会計スタッフのワンポイント
青色申告の申請は、 確定申告の時期になってから考えるのでは遅い場合があります。 特に1月16日以後に開業した方は「開業日から2か月以内」という独自の期限があるため、 開業時点で早めに手続きを済ませておくのがおすすめです。
「開業から2か月以内」は具体的にいつまで?
たとえば、1月16日以後に開業した場合は、 開業日から2か月以内が青色申告承認申請書の提出期限です。
| 開業日の例 | 提出期限のイメージ |
|---|---|
| 4月10日 | 原則6月10日まで |
| 7月1日 | 原則9月1日まで |
| 10月1日 | 原則12月1日まで |
実際の期限について休日等が関係する場合は、 国税庁の最新情報も確認しましょう。
2026年から「開業届」と「青色申告申請」の期限が大きく違うので注意
2026年1月1日以後に開業した場合、 個人事業の開業・廃業等届出書(いわゆる開業届)の提出期限が変更されています。
現在は、原則として 開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出するルールです。
一方、青色申告承認申請書の期限は、 開業届と同じように延びたわけではありません。
| 書類 | 2026年1月1日以後に開業した場合 |
|---|---|
| 開業届 | 開業した年分の所得税の確定申告期限まで |
| 青色申告承認申請書 |
原則3月15日まで。 1月16日以後の新規開業なら開業日から2か月以内 |
「開業届は確定申告までだから、青色申告申請も後でいい」は危険
開業届の期限だけを見て手続きを後回しにすると、 青色申告承認申請書の2か月以内の期限だけ先に過ぎてしまう可能性があります。 青色申告を希望する方は、開業届とは別に申請期限を管理しましょう。
開業届と青色申告承認申請書は一緒に出すべき?
開業届と青色申告承認申請書は、 必ず同じ日に提出しなければならない書類ではありません。
それぞれ別の届出・申請なので、 提出期限も別に定められています。
ただし、開業時点で青色申告をすることを決めているのであれば、 開業届と一緒に青色申告承認申請書も準備しておく方が、 提出忘れを防ぎやすくなります。
現役税務会計スタッフのワンポイント
開業時は、銀行口座・名刺・会計ソフト・請求書など準備するものが多く、 税務書類の期限を忘れやすい時期です。 青色申告を利用する予定なら、 開業届と青色申告承認申請書を同じタイミングで準備すると管理しやすくなります。
青色申告承認申請書の書き方
青色申告承認申請書は、 国税庁の様式に必要事項を記載して提出します。
代表的な記載項目を順番に確認しましょう。
① 提出先の税務署名・提出日
納税地を所轄する税務署名と、 申請書を提出する日を記載します。
② 納税地
一般的には住所地を納税地としている個人事業主が多いですが、 実際の納税地に応じて記載します。
③ 氏名・生年月日・職業・屋号
本人の氏名・生年月日・職業を記載します。
屋号を使用している場合は屋号も記載します。 屋号がないから青色申告を利用できないわけではありません。
④ 青色申告を開始する年分
「令和○年分以後の所得税の申告は青色申告書によりたい」 という欄には、 青色申告を開始したい年を記載します。
⑤ 事業所などの名称・所在地
店舗や事務所などがある場合は、 名称や所在地を記載します。
自宅で事業を行っているケースなどは、 実際の事業状況に合わせて記入しましょう。
⑥ 所得の種類
申請書では所得の種類を選択します。
一般的な個人事業主・フリーランスで、 事業所得として申告する場合は 「事業所得」に該当します。
不動産所得や山林所得の場合は、 実際の所得区分に合わせます。
⑦ 開業日
その年に新しく事業を始めた場合は、 事業を開始した年月日を記載します。
この開業日は、 青色申告承認申請書の 「開業から2か月以内」の期限を確認するうえでも重要です。
⑧ 相続による事業承継か
相続によって事業を承継した場合は、 申請書の該当項目を記載します。
相続による承継については通常の新規開業とは提出期限が異なる場合があるため、 国税庁の最新案内を確認してください。
⑨ 簿記方式
ここは迷いやすい項目です。
帳簿の付け方に応じて、 複式簿記または簡易簿記などを選択します。
青色申告特別控除のうち、 正規の簿記の原則による記帳が要件となる控除を利用する場合は、 実際にもその要件を満たす帳簿を作成する必要があります。
「複式簿記」に○を付けるだけでは控除要件を満たさない
申請書上で複式簿記を選択しただけで、 65万円・75万円等の青色申告特別控除が自動的に適用されるわけではありません。 実際の記帳・決算書作成・申告方法などの要件を満たす必要があります。
⑩ 備え付ける帳簿
申請書には、 実際に備え付ける帳簿を記載・選択する欄があります。
帳簿の例には、
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
- 預金出納帳
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
などがあります。
すべての人が同じ帳簿を使うわけではありませんので、 自分が実際に備え付ける帳簿に合わせて記載しましょう。
複式簿記と簡易簿記はどう違う?
青色申告では、 原則として正規の簿記の原則による記帳が基本となりますが、 簡易な帳簿による記帳も制度上認められています。
一般的に、 複式簿記では仕訳帳や総勘定元帳を使い、 貸借対照表と損益計算書を作成できるように記帳します。
一方、簡易簿記では、 現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳などを使用して記帳します。
ただし、受けられる青色申告特別控除額は、 記帳方法や申告方法などによって変わります。
青色申告特別控除のポイント
2026年分まで: 一定の要件により最高65万円・55万円・10万円の区分があります。
2027年分から: 制度改正により、一定の要件を満たす場合は最高75万円の控除区分が設けられます。 75万円控除には電子帳簿保存等を含む追加要件があるため、 申請書提出だけで適用されるわけではありません。
青色申告承認申請書を出し忘れたらどうなる?
初めて青色申告を利用しようとしている方が、 青色申告承認申請書の期限を過ぎてしまった場合、 原則としてその年分から新たに青色申告を始めることはできません。
その年分は白色申告で対応し、 翌年分から青色申告を利用したい場合は、 翌年分について所定の期限までに申請することになります。
確定申告のときに一緒に出せば、その年も青色になるわけではない
「確定申告書を提出するときに青色申告承認申請書も出せば大丈夫」 とは限りません。 青色申告を適用したい年について、所定の申請期限を守ることが重要です。
なお、災害など特殊な事情がある場合には、 期限延長等の取扱いが関係する可能性があります。 個別事情がある場合は税務署等へ確認しましょう。
青色申告承認申請書を提出すると承認通知は届く?
申請書を提出しても、 必ず「承認しました」という通知書が届くとは限りません。
国税庁によると、 青色申告の承認を受けようとする年の12月31日までに 承認または却下の処分通知がなかった場合は、 原則としてその日に承認されたものとみなされます。
ただし、その年の11月1日以後に新しく業務を開始した場合は、 翌年2月15日までに処分通知がなければ承認されたものとみなされます。
現役税務会計スタッフのワンポイント
「承認通知が届かないから青色申告できないのでは?」と心配する必要はありません。 一方で、税務署から確認や却下通知等が届いた場合は、 内容をそのままにせず確認しましょう。
青色申告承認申請書はどうやって提出する?
青色申告承認申請書は、 主に次の方法で提出できます。
| 提出方法 | 特徴 |
|---|---|
| e-Tax | オンラインで申請書を作成・提出できる |
| 税務署へ持参 | 納税地を所轄する税務署へ提出 |
| 郵送 | 書面を作成して所轄税務署へ送付 |
国税庁では、 青色申告承認申請書をe-Taxで提出することもできます。
まだ開業届も青色申告承認申請書も作っていない方へ
「開業届もまだ作っていない」 「青色申告承認申請書の書き方に自信がない」 という方は、開業書類作成サービスを利用する方法もあります。
開業に必要な書類を無料で作成できます
「弥生のかんたん開業届」は、 画面に沿って入力することで、 開業届や所得税の青色申告承認申請書などを作成できる無料サービスです。
「どの書類を作ればいいか分からない」 「手書きで一から作るのが不安」 という開業前・開業直後の方は確認してみてください。
青色申告承認申請書を出した後にやること
青色申告承認申請書を提出すれば、 それで青色申告の準備がすべて終わるわけではありません。
その後は、
- 日々の売上・経費を記帳する
- 領収書・請求書等を保存する
- 必要な帳簿を作成する
- 年末に決算処理をする
- 青色申告決算書を作成する
- 期限内に確定申告する
といった作業が必要です。
特に複式簿記を自分で行う場合は、 開業直後から帳簿付けを始めておくと、 確定申告直前に1年分をまとめて処理する負担を減らせます。
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家族へ給与を払うなら青色事業専従者給与の届出も確認
青色申告を始める方の中には、 配偶者や家族に事業を手伝ってもらう方もいるでしょう。
一定の要件を満たす青色事業専従者へ支払う給与を 必要経費に算入したい場合は、 青色申告承認申請書とは別に 「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要です。
青色申告承認申請書を提出しただけで、 家族への給与が自動的に必要経費になるわけではありません。
よくある質問
Q. 青色申告承認申請書は開業届と同時に出さないとダメですか?
いいえ。 開業届と青色申告承認申請書は別の手続なので、 必ず同じ日に提出する必要はありません。
ただし提出期限が異なるため、 青色申告をする予定なら開業時に一緒に準備しておくと安心です。
Q. 開業から2か月を過ぎたらどうなりますか?
初めて青色申告を利用しようとしている方が期限を過ぎた場合、 原則としてその年分から新たに青色申告を適用することはできません。
翌年から青色申告を利用したい場合は、 翌年分について所定の期限までに申請しましょう。
Q. 開業届をまだ出していなくても青色申告承認申請書は提出できますか?
開業届と青色申告承認申請書は別々の手続です。
ただし、それぞれ提出すべき書類・期限があるため、 開業した場合は必要な手続きをまとめて確認しておくことをおすすめします。
Q. 青色申告承認申請書はe-Taxで提出できますか?
はい。 国税庁では青色申告承認申請書をe-Taxで提出することができます。
書面で作成して税務署へ持参または郵送する方法もあります。
Q. 青色申告承認申請書は毎年出す必要がありますか?
青色申告の承認を受けた後、 毎年同じ申請書を新たに提出する手続ではありません。
ただし、青色申告を取りやめたり、 承認が取り消されたりするケースなどは別途手続・取扱いが関係します。
Q. 65万円・75万円控除は申請書を出すだけで受けられますか?
いいえ。
青色申告承認申請書の提出は、 青色申告を利用するための手続です。
青色申告特別控除の金額については、 実際の記帳方法・決算書の作成・期限内申告・e-Taxや電子帳簿保存等の要件 によって決まります。
Q. 2027年から青色申告特別控除は75万円になりますか?
2027年分(令和9年分)から、 一定の要件を満たした場合の青色申告特別控除に 最高75万円の区分が設けられます。
ただし、すべての青色申告者が自動的に75万円になるわけではありません。 優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存など、 所定の要件を満たす必要があります。
まとめ|青色申告をするなら「開業から2か月以内」を忘れない
青色申告承認申請書は、 個人事業主が青色申告を利用するための重要な申請書です。
特に1月16日以後に開業した場合は、 開業日から2か月以内という提出期限があります。
2026年1月1日以後は開業届の提出期限が確定申告期限までに変更されていますが、 青色申告承認申請書の期限まで同じように延長されたわけではありません。
この記事のまとめ
・青色申告を利用するには青色申告承認申請書を提出する
・原則の提出期限は青色申告をしたい年の3月15日
・1月16日以後の新規開業は開業日から2か月以内
・開業届と青色申告申請は提出期限が違う
・開業届と同時提出は必須ではないが、一緒に準備すると忘れにくい
・申請書を出すだけで65万円・75万円控除になるわけではない
・複式簿記等は実際の記帳方法も要件を満たす必要がある
・申請後は日々の帳簿付けを早めに始める
現役税務会計スタッフのワンポイント
開業届よりも青色申告承認申請書の方が先に期限を迎えるケースがあります。 「開業届の期限だけ確認して安心しない」ことが、2026年以降は特に重要です。 青色申告をする予定なら、開業時に必要書類をまとめて確認しておきましょう。
青色申告の手続きで迷っていることはありますか?
「この場合の期限はいつ?」「申請書のこの欄はどう書く?」など、 記事を読んでも分からなかった点があればコメントで教えてください。 今後の記事・FAQ作成の参考にさせていただきます。
参考:公的情報
青色申告承認申請書の期限・提出方法・記帳制度については、 国税庁の最新情報もあわせて確認してください。

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